一 仏頂和尚山居の跡

963 ~ 964
 『ほそ道』本文に「当国雲巌寺の奥に仏頂和尚山居の跡あり。…その跡みんと、雲巌寺に杖を曳けば、…さて、かの跡はいづくのほどにやと、後の山によぢ登れば、石上の小庵、岩窟に結び掛けたり。」とある。
 また『曽良隨行日記』に次のような「雲岩寺十景。五橋。三井。」の記事あり。
  海岩(岸)閣、竹林(竹林塔)、独木橋、 神龍池、
  十梅林、龍雲洞、瑞雲ゝ(橋)、都寺泉
  玉几峯、鉢盂峯、瓜〓ゝ、岩虎井
  水分石、千丈岩、涅槃ゝ、
  飛雪亭、玲瓏岩。梅船ゝ。
 仏頂和尚山居跡は庫裡の裏山の削平された平担地にある。自然石に「仏頂禅師山居之跡」と刻んである。説明文に「山庵ト号セリ。芭蕉翁が奧ノ細道ニ見ユ。禅師示寂ノ後モ幾世カ住庵セシモ、漸次廃墟トナレリ。大正十五(一九二六)年山内ニ水道設備ヲ施スニ当リ、斯ノ地ニ防火用水槽ヲ築ケリ。由ツテ孝衲ノ婆心、亦来世ノ為ニ無華ノ一枝ヲ手折ルノミ。皇紀二千六百年初夏 現雲巌古稀翁憲道」とある。
 なお山居跡は『ほそ道』本文の「石上の小庵、岩窟に結び掛けたり、妙禅師の死関、法雲法師の石室を見るが如し。」という表現のしかたは現地を考えあわせ異説を唱えるものがある。
 山居跡に仏頂和尚の塔所がある。傍の碑に「[臨川開祖]仏頂禅師塔所」と刻文がみられる。

「仏頂禅師山居の跡」


仏頂禅師塔所(碑)