1、十景(「十境」ともいう)

964 ~ 965
 (1) 鉢盂(はつう)峯(『旧跡図』中の記号①以下同じ)
『雲巌寺旧記』によると唐の抗州臨安府径山の興聖万寿寺の佳境にまねたという。
 (2) 玲瓏(れいろう)岩 ②
 唐の明州太白山夫竜景徳与の境致を移すという。
 (3) 玉几(ぎょっき)峯 ③
 唐の明州慶元府、阿育王の〓山広利寺の境景を移したという。
 (4) 竜雲(りゅううん)洞 ④
 (5) 水分(すいぶん)石 ⑤
 (6) 十梅林(じゅうばいりん) ⑥~1、2
 仏国の昔、宮中より十種の梅の木を下賜され植えたものと伝う、これ三仏塔の東方にあり。(明治二十二年(一八八九)のころの絵図には山門と熊野嗣鳥居間にありと誌してある)
 (7) 竹林(ちくりん)塔(竹林)⑦
 『旧記』に「霊石の竹林。開祖が安禅の石、并びに其の時霊井(れいせい)清水一之れ有り、故に霊石と云う。真空初相見の処なり。」とある。
 (8) 海岸(かいがん)閣⑧
 「是れ観音堂、…上代(そのかみ)此の堂に於きて懺法(せんぽう)を修す、故に閣懺法と曰ふなり。十八日、毎月。」とある。本尊、聖観世音菩薩像は現在方丈内に安置してある。
 (9) 飛雪(ひせつ)亭⑨
「崖におちてきくことをふさぐ空に瀑する雪、雁宕の竜湫みだりに名を得たり。致境神を会し、物表に起ゆるを、自ら双袖をうつしみて亭をめぐり行く」(『雲巌寺旧記』による。)

 唐の明州慶元府、雪空空覚山資禅寺の境致を移したという。