(1)都寺泉(すうずせん) (1)
仏殿(一般に釈迦堂とも呼ばれている。)―本堂に至る石階の登り口、向って右側の泉である。現在は使用しないので蓋がしてある。都寺泉と初めて名付けられた往昔には、こゝに湧き出した清冽な水を、毎日仏殿に捧げたものと推察できる。この泉の名は『[雲巌開山]仏国国師略伝』(玉村竹二)には「通都(つうづ)泉」とある。
(2)神竜池(しんりゅうち) (2)
本堂「獅子正殿」(古図に方丈と表示したものもある。)に向って左奥の池で、水源の湧き水を毎日、本堂にまつられている仏さまに捧げたものとみられる。なお雲巌寺境内を示す古図に扇池があるが、これは霊石の下(ほとり)にあり、為相卿が扇をしきて興じたことによりその名がある。
(3)岩虎井(がんこせい) (3)
開山堂「三仏塔」(三仏堂とも称す)の宝前にある湧水による井戸である。この閼伽水は開山堂にまつられている雲巌寺三祖に捧げたものといわれ。また開山仏国国師さまが庵を結んでいたころのお使い水であると伝えられている。
(注)瓜〓の前渓を手向(たむけ)川という。仏国のころ為相卿の歌に「掬びあぐる清き流れの行く末を手向と成すぞ御仏の為」とある。
『おくのほそ道』旧跡図 東山雲巌寺十景・五橋・三井