2 農協財務の状況

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農協発足年度に当る昭和二十三年度は、事業期間としては一ケ年に未たないが、欠損金は黒羽町の各農協とも出なかった。而し二十四年度以降については黒羽町の四農協の中には欠損金が出た組合もあり、損金を出さない組合も経営は四苦八苦の状態であった。発足十年後、昭和三十二年度の決算結果を見ると別表の通り剰余金は川西五万円両郷五万五千円であり、黒羽四百円、須賀川三千八百円の欠損金が出ている。当時の農協経営は相当苦しかったことがうかがわれる。このことは当時の経済情勢の急激な変動に農協も組合員もついて行けず、貸付金並びに未収金の増大と出資金と固定資産のバランスがとれなかったことが大きな要因である。それに加えて、昭和二十四年から襲い始めた農家経済は、経済情勢の変動により、安い農産物と高い購入物資に悩まされ、過重な税金攻勢に見舞れ、最悪の時代であった。組合員は過去のインフレ時の状態から完全に脱皮出来ず、いきおい組合経営にも大きな影響があった。
昭和32年度末黒羽町農業協同組合主要勘定
(単位:千円)
組合名川西町農業協同組合黒羽町農業協同組合須賀川農業協同組合両郷村農業協同組合
科目
預金14,58218,4008,10218,192
貸付金44,34021,7571,80920,696
経済未収金3,0817,6591,3163,969
棚卸資産2,4102,7661,03810,230
固定資産2,6344821,4123,878
外部出資2,0662,2973672,321
貯金26,05243,5929,74638,039
借入金28,22011,6872,73312,318
共済資金
経済未払金1,276169553983
諸引当金
出資金13,0631,9603104,788
準備金積立金75926115138
未処分利益剰余金5013,82755

 このため昭和二十五年十一月十六日、政令第三三七号で財政処理基準令が公布され、その目的は組合財政を適正にし、当時組合を襲った憂慮すべきいろいろな悪現象を、未然に防ごうとするものであった。