昭和二十八年以降、売掛金が急増し、新たな問題を提起した。財務処理基準令は、信用事業から他事業への資金運用額を規正し、貯金総額の二十パーセント以下、とその限度を制限しているにもかゝわらず、遂年累増の傾向を辿り、購買事業の売掛金だけで県平均三一、六パーセントと累積し、一事業部門の対策ではなく、農協経営全般の重大欠陥として対策が講ぜられた。
昭和三十一年十一月第一次購買代金、現金決済運動が提唱され、三十五年八月第二次、ついで三十六年九月第三次購買未収金解消運動が展開された。
黒羽町四農協は、購買代金決済方針を協議し、種々の方法を検討した。両郷農協は二十九年三月より購買代金は、現金又は購買貯金による振替決済を行うことにした。購買貯金は、米一俵四千円麦一俵二千円、たばこ一反歩二万円としてその三割を貸付・購買貯金に振替ることにし、購買未収金の解消につとめた。しかし組合員は盆暮勘定に慣れ、その上二十八年、九年の凶作による未収金が累積し、この解決は容易でなかった。
その後中央会の指導もあり、購買貯金借越約定書を組合員と締結し、農産物出荷契約により貸越限度の設定を行い、現在この方法により黒羽川西両農協は購買代金の円滑な決済を行っている。