(七) 片田

1093 ~ 1094
 片田(かただ)は那珂川の左岸段丘に位置し、概(おおむ)ね平地であるが、東部は丘陵性の御亭(こてや)山地である。
 片田は町内で最も早く開けた土地の一つで、『和名抄十二郷』の『方田(かただ)郷』に比定されている。なお『方田』を『堅田』と誌した古文書もみられる。
 『片』・『方』・『堅』はそれぞれ『側面』・『方位』・『堅固』の意に用いられるが、何れも片田の地に相応(ふさわ)しい使い方である。
 主な地名に、柿内田・根岸・山口・上城・一丁町・幕尽・中島・西舟橋・古手田・梅木田・四斗蒔・六斗蒔・上舟橋・舟橋・亀山町・小路谷・館・沓ケ田・宮下・一本榎・三斗蒔・羽場下・田尻・初田前・八斗蒔・湯殿等がある。
 現在の片田には、湯殿・上山田・西山田・東山田・亀山等の集落がある。上山田に対し下山田の呼称も使われている。
 湯殿・上山田等の集落は自然堤防上にある。その後背地には方格地割の条理水田がみられる。隣接の北滝もそうだが、この辺りには最近までその遺構がみられた。

片田の集落景観

 湯殿村と亀山村とは近世のころの黒羽藩領である。山田村は『倉橋』・『酒井』・『桑山』・『久世』氏の知行所であった。