矢倉(やぐら)は、黒羽町の最南端に位置している。那珂川沿いの下川原付近が、北緯三十六度四十分位である。
矢倉の南東部は、馬頭町の小砂、小口(広瀬)等に接続し、西部は、那珂川を隔てて、佐良土が目睫の間にある。
『矢倉』の地名考に二つの説がある。一つは『兵庫』の意である。古くは『兵庫』を『やぐら』と読んだという。弓矢などの武具を収納してある倉庫が置かれている所という意味がある。(注、大塩にも兵庫山というところがある)
もう一つの説は『櫓』という意味だという。櫓を築いて、そこから弓の矢を射たり、物見をした所から名付けられたとする説である。『矢置』と書いて『やぐら』とも称したそうである。
矢倉の地名考説に各説あるが、一般に『矢置(やぐら)』は、『岩窟』など岩場のある地形に名付けられたものが多い。私は、馬頭町境辺に多くの岩窟のようなものがあることから考えあわせてみると、矢倉の地名は、これに由来するものと思われる。
主な地名に、下川原・片根・町井・中島・梨木町・下穴田・森前・苅切・下水口・四斗蒔・足洗・下堂石・提下・坂口・中之内・早稲田・机田・エナタ・上穴田・沢田・満神田・愛敬場・ソリ田・柳田・穴石・大道ハタ・上水口・北原・舟木沢・上野・久保などがある。