(三) 両郷

1099 ~ 1100
 両郷(りょうごう)は、八溝山頂近く源を発する本沢・不動沢・笹沢・台の沢・天狗沢をあわせた松葉川上流の谷間に開けたところで磯上、五斗蒔、田中などの集落がある。
 石倉沢を通じ伊王野との結びつきが深く、近世のころは共に幕府直轄地(天領)で明治維新に際し石橋県に属したところである。
 両郷村の名も早期に開けた交通の要衝地伊王野宿からみて、前郷〈まえごう〉(前松葉川沿いの寺宿・木佐美・大久保・久野又)と後郷〈うしろごう》(松葉川沿いの両郷・河原・中野内)との、二郷のある方の同領内、田中あたりを総称して、名づけられたものであろう。旧石高四百四拾三石七斗三升である。なお二つの郷に一つの村があったころ『両村』と称したことがあるという。