湯津上村教育委員会教育長 吉成不二雄
湯津上村誌が、村民の皆様方のご協力のもとに、ここに発刊をみるに至りましたことは誠に意義深いものであり、皆様とともに喜びにたえません。
本村は、那須連峯に源を発する那珂川と、塩原に源を発する箒川、及び蛇尾川の三河川に狭まれた三角形の純農村であり、また、歴史的にも種々の遺跡を持ち、特に国宝那須国造碑、及び国指定史跡上・下侍塚を中心とする幾多の古墳群を有し、古代文化発祥地として歴史的情趣漂う風土であります。
このような自然の恵みと、歴史的環境にめぐまれた、緑ゆたかな平野の展開する明るい住みよい郷土であり、特に、近年は新しい希望に燃えた諸施策が次ぎ次ぎに実施され、躍進の機運みなぎる誠に頼もしい村として成長しております。
このような時に当り、私たちの祖先が幾千年もの間あらゆる困苦欠乏に耐えて、今日このような発展をみる湯津上村を築きあげられたことを思うとき、先人の幾多の偉業を偲び、感謝の気持でいっぱいであります。同時に、あすの湯津上村の繁栄を図ることは、現代に生きる私たちの責務であることを痛感するものであります。
本誌は、この意味において、当村の歴史的発展過程を、祖先の文化遺産に基づいて明らかにし、村民の皆様に、郷土に対する理解を深めていただき、真に郷土を愛し、郷土の限りない発展に寄与されますことを願って発刊したものであります。
したがって「村民に親しまれる村誌」「村民の手によって書かれた村誌」という念願のもとに、昭和五十年度(植竹宗保教育長)より村誌編さん室を設け、編さんに着手いたしました。その間、僅か四年でまとめたものであり、研究においても不足の点があり、内容的にも全部を書き尽し得ない不備な点も多々あることと思いますが、いわゆる専門家の編さんでないことをご了承いただき、ご高覧のうえ、忌憚のないご批判、ご教示をいただければ幸いです。
終りに、本誌編さんに当り、多くの皆様からご指導ご協力を賜わり、厚くお礼申し上げますとともに、貴重な資料を快よく提供くださいました村民の皆様、並に編集に当られた方々のご努力ご苦労に対し心から敬意と感謝を表し、村誌発刊を契機として、ふるさと湯津上村が更に大きく躍進することを祈るものであります。