写真3 大田原浮石層相の沢火砕岩層の露頭(新宿箒川東岸)
(ハンマーの柄の中間辺が不整合面)
その後、那須野が原では、初期河川による侵食、運搬、堆積作用が行なわれ、砂礫が堆積した。(鍋掛礫層)(写真参照)この時期に北方の那須火山の活動がはじまり、黒磯以北一帯に火山泥流が堆積した。
この頃、那珂川、箒川、蛇尾川等の下刻、側刻が進行し、南東に方向性をもつ分離丘陵がつくられた。その後、再び隆起運動があり、多量の砂礫が那須野が原全域をおおった。
その後、流路のほぼ定まった那珂川、箒川などの侵食、運搬堆積作用が行なわれ、品川面と、下蛭田面、蛭畑面や岩船台と下の谷地、二升田面のような河岸段丘をつくり、現在に至った。(写真4、5、6参照)
写真4 鍋掛礫層
写真5 下の谷地から見た岩船台(段丘面)
写真6 二升田面から一段古い段丘(上の原面)を眺む
尚、湯津上村を東西に縦断した地質断面模式図は前頁のようにあらわされる。
地質断面模式図
(付)地質時代対比表
この文章・図表のほとんどは「図説、那須野の地下水探査記録」(提橋昇著)による。
〈郷土付近の地学教材参考メモ〉
1. 新生代 新第三紀層(凝灰岩層)の観察地点
・湯津上村東部、湯殿渡し付近の崖の露頭
・片田(亀山石)
・箒川南岸、浄法寺付近の崖
2. 新生代 第四紀 洪積世における高原累層の観察地点
・新宿から福原へ行く橋のたもとの東の崖(写真3)
(相の沢火砕岩層と大田原浮石層の不整合面も見られる。)
・大野の水田地帯を流れる川の河底の一部に第三紀層がみられる。
・箒川南岸(矢板)の崖
3. 関東ローム層
・中学校地ごく坂の露頭
・中学校うら道の牧場入口付近の露頭
・馬坂峠付近の露頭
・新しい道路工事をしたときその切り割りの崖をみると、ローム層上部に鹿沼土の散在するのが見られる。(とくに佐良土方面)
4. 段丘の観察
・湯小のある台地と、栗の木淵のある台地の段差
・上の原の面と、二升田の面の段差
・佐良土小の台地と、西の原の台地の段差と現在の箒川河床
・品川の台地と蛭田の台地の段差