適応性が強く、県内のほとんどの流水域に生息しているなじみ深い魚である。産卵期に入ると、腹部に三列の赤い縦じまができ、背部には繁殖期特有の白い「追い星」が見られ、雄の頭部白点は目立って多くなる。桜の咲く頃、アイソの瀬付きは最高になって味覚が楽しめる。平凡社『アニマ』六三号によれば、産卵期になると、雌の横に雄が体をすり寄せ、産卵を促し、雌が川底に沈み産卵が始まると、雄が次々と頭から割り込み昂奮の絶頂に達するという。そしてこの産卵場は、有機泥やコケなどの無いきれいな小石のところで、しかも川の水が絶えず水底へと吸い込まれており、産みおとされた卵はすぐ石の間に引き込まれ、石積されて流下をまぬがれる。球形で粘性のある卵は、水温一五度のとき約五日間で孵化する。ウグイの瀬付け漁業(アイソボリ)は春の風物詩でもある。
9.ウグイ 加藤仁
10.アブラハヤ 加藤仁