小船渡地内にある二ツ室塚古墳調査の際に発見された遺跡である。那珂川右岸の段丘上に立地する繩文時代中期の遺跡である。後にのべる二ツ室塚古墳は、繩文時代の遺跡に築造されたのである。ここからは加曽利EI式土器が出土している(第12図)。那珂川に面した段丘上は繩文時代の集落形成には格好の地であった。狩猟・漁撈生活を主としたこの時代には、小船渡のような地形は集落を営むのにもっとも適したところである。このため本村から小川町をへて烏山町にかけた那珂川沿岸には、繩文時代の遺跡が非常に多く分布している。河川と集落跡との関係を知るのに大変興味深いところである。
第12図 二ツ室塚出土の繩文土器実測図(縮尺不明)