湯津上周辺には、かなり多くの古墳が分布している。具体的には下侍塚古墳(国指定史跡)周辺からその北方の岩船台、小船渡にわたる一帯で、ここに分布する古墳を湯津上古墳群とよんでいる(大金宣亮「那須地方における古墳の分布と展開」『下野古代文化』1)。この古墳の中にはすでに失われたものもあるが、とくに、下侍塚古墳北にある前方後円墳を中心に分布する円墳は現在七基存在する。かつては九基以上あったという。また岩船台には小学校付近に七基以上の円墳(全部湮滅)、小船渡には前方後円墳や大形円墳を中心に数基の小円墳が分布している。
これらの古墳の分布の実態は、湯津上、岩船台、小船渡の小地区に分けられるにしても、各古墳の示す内容から、全体を一つの古墳群としてとらえ、それぞれを支群として把握するのがよいようである。いま、下侍塚古墳北にある八基の古墳を、湯津上古墳群の支群として略記してみよう。そしてこれを下侍塚古墳群としてとらえることにする。