酢屋古墳

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この古墳は湯津上地内の西ノ根・酢屋(すや)にあるもので、ここには五基の古墳が分布している。このうち、三基は大川清(国士館大教授)によって、昭和五十二年八月に発掘調査されている(第28図・第29図)。五基のうち、一基は帆立貝式の前方後円墳であるが、他の四基はいずれも円墳である。

第28図 酢屋古墳と発掘状況


第29図 酢屋古墳の発掘状況

 発掘された三基のうちの一基からは、箱式石棺(はこしきせきかん)が発見され(第30図)、周湟からは、これと重複し住居跡が検出された。また、近くからは剣二口(ふり)、刀二口、短剣と思われるもの一口が発見され、祭壇に用いられたと思われる小形の土師器(はじき)数点が出土した。土師器のほか、櫛(くし)・滑石製(かっせきせい)の剣形模造品・滑石製の紡錘車・小玉などが検出され、この古墳は、五世紀後半から六世紀初頭の築造と推定されている。

第30図 酢屋古墳の箱式石棺と土師器