上侍塚古墳

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湯津上地内にある国指定史跡の前方後方墳である(第34図)。那珂川右岸の二段目の段丘崖近くに立地し、那須地方に分布する前方後方墳五基中、もっとも大きなもので、全長一一四メートル、後方部は東西が約六〇メートル、南北約六八メートルの縦長で、高さ約一二メートルであり、前方部は幅五二メートル、高さ七メートルである(第35図)。

第34図 上侍塚古墳の全景


第35図 上侍塚古墳の墳丘実測図
『栃木県史』資料編考古1より

 この古墳はほぼ南面して築造されていて、各部分の稜はよく保存されている。後方部の墳頂は南北二四メートル、東西一六メートルの長方形を呈する平坦部となっている。徳川光圀らによって発掘された跡が、中央に浅い凹所となって残っている。周湟は、西側では認められるが、東側は崖に接しているので明らかでない。墳丘面には葺石がみられる。光圀らが調査した際に出土した遺物は、元禄年間の調査記録によって知ることができる。このことについては後述したい。