農事試験委員は、明治十三年公撰を以て、各町村に一若くは数名置かれ、その任務は「勧業委員ノ指示ヲ請ケ、諸試験及ビ起業興産ニ注意シ其意見アルハ、県令又ハ郡長ヘ上申スルコトヲ得」とある。
当時(明治十三年)那須郡の勧業委員は、第一区石塚宗七郎、第二区大金薫、第三区印南丈作、第四区西山真太郎、第五区加藤義一で、農事試験委員は、各村毎に設けられたわけであるが、次のように、その任期や手当等に関する、小船渡村外二カ村の規約が残っているのみで、その他のことは明らかでない。
規約御届書
那須郡小船渡村外二ケ村
右者今般甲第百弐号御布達ニ付、農事試験委員撰定候、就テハ、勤務年期者当明治十三年七月ヨリ、来ル明治十六年六月迄、満三ケ年トス、依テ村民協議費ヲ以支弁スヘキヲ決定スル、左ノ如シ
第一条
第二条
第三条
第四条
那須郡小船渡村外二ケ村
右者今般甲第百弐号御布達ニ付、農事試験委員撰定候、就テハ、勤務年期者当明治十三年七月ヨリ、来ル明治十六年六月迄、満三ケ年トス、依テ村民協議費ヲ以支弁スヘキヲ決定スル、左ノ如シ
第一条
一農事試験委員職務ニシテ、若シ毎村取調書面認等之義有之節者、其書面ニ応シ、相当ノ手数料ヲ給スヘシ、且一日ニ満ル時者日当拾五銭、半日金八銭宛ヲ給ス
第二条
一試験委員ニ関スル事件ニ付、勧業課亦者郡役所ヨリ、御達之次第義ニテ、他へ奔走等之義有之節者、日当ヲ給セス、旅費一里金五銭宛、往返共ニ里程ニ応シ是ヲ給ス、且他ニ宿泊スル時者、旅費之外、賄料之実費者協儀(ママ)タルヘシ
第三条
一勧業課御布達ニ基キ、起業興産等之儀ニ付、望之者有テ、郡役所且者其筋ニ、願伺等之事由有之節者、一切村費ニ不拘様、其本人ニテ弁費スルモノトス
第四条
一農事試験委員、職務ノ件ニテ、郡役所其他奔走ハ勿論、第三条ノ廉ヲ除之外、右事件ニ関スル旅費日当・郵便税・筆墨紙等ニ至ル迄、証書取束戸長役場ニ差出、是ヲ割合法方(ママ)ハ、先以寄留人者除、且本籍(現在)有地者ヘ賦課スルモノトス
前条、人民集合一同協義(ママ)決定候処相違無之、依テ惣代連署ヲ以此段御届申上候、以上
(船山久三家文書)