田圃虫害予防規則

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明治十九年に定められたもので、田圃に害虫が発生した場合の駆除方について、その耕作人・駆除世話係・勧業委員・戸長等の責任を明らかにし、違反者には罰則を課している。
乙第三十三号
田圃虫害予防規則別冊之通相定メ本年五月二十日ヨリ施行ス
  明治十九年四月五日
                栃木県令  樺山資雄
 (別冊)
     田圃虫害予防規則
第一条 本則ハ田圃ノ害虫ヲ予防スル為メ設クルモノトス、其虫類左ノ如シ

  蝗虫、螟虫、地蚕、〓〓、尺蠖
第二条 毎郡戸長役場管理内各町村ヲ以テ駆虫地区ト定ム

第三条 駆虫地区内毎町村ヘ、一名乃至数名ノ駆除世話係ヲ置キ、其町村人民中ヨリ公撰シ、被撰人名ハ所管戸長役場ヘ届出ツヘシ

  但シ小町村ハ、便宜数町村聯合シテ之ヲ置クモ妨ケナシ
第四条 害虫田圃ニ発生セシトキハ、其作人ハ速ニ其町村駆除世話係ヘ報告スヘシ

第五条 駆除世話係ハ、前条ノ報告ヲ得タルトキハ、実地ヲ検分シ其作人ヲシテ駆除ニ着手セシムヘシ

 但其景況ハ、速ニ所管戸長及ヒ勧業委員ヘ報告シ、戸長ハ之ヲ所轄郡長並県令ヘ報告スヘシ
第六条 勧業委員ハ、虫害ニ関スル事件ニ付、比隣地区ト交互通信シ、其地区内ハ実況ヲ詳カニシ、予防又ハ駆除ノ方案ヲ戸長ヘ開陳スヘシ

第七条 戸長ハ、害虫蔓延ノ徴アリト認ムルトキハ、駆除世話係ヲ指揮監督シ、其町村或ハ地区内人民ヲシテ予防又ハ駆除ニ従事セシムヘシ

第八条 戸長ニ於テ、作物ヲ取除カサレハ予防又ハ駆除シ難シト認ムルトキハ、其作人ヲシテ之ヲ取除カシムヘシ

第九条 規則第五条、第七条、第八条ノ場合ニ於テ、作人及ビ地区内人民ハ、駆除世話係又ハ戸長ノ指揮ニ従ハサルヲ得ス

第十条 前数条ニ係ル駆除一切ノ費用ハ、其地区内町村費ヲ以テ支弁スヘシ

第十一条 規則第一条ニ明記セサル虫数(類)ト雖モ、県庁ニ於テ田園ニ大害アリト認メ、特ニ命令スルモノハ総テ本則ニ従フヘシ

第十二条 此予防規則第四条、第九条ニ遅背シタルトキハ、違警罪ヲ以テ処分セラルヘシ

(『栃木県史』近現代編四)