(1) 家の周囲と環境

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 那須高原から吹きつける冬の北西風は、那須おろしと称され、冷え込みが厳しい。当地方の多くの家の周囲には、この那須おろしを避けるための屋敷林がある。屋敷林は、杉・欅(けやき)・竹およびモガリと呼ばれる、きれいに刈り込んだ垣根などが利用されている。竹林は孟宗(もうそう)竹が普通であるが、家例によって「なにをもうそう、これっきり」というから、竹と桐は植えないという家もある。
 この地方では、屋敷から道路に通じる小路を門場(かどば)と呼び、昔ながらの家は、道路から少し奥まった所に母(おも)屋を建ててあるので、門場の存在がはっきりしている。門場はいくらかでも曲げてつくるものと言われるが、まっすぐの場合もある。
 入口から屋敷まで通じる門場のわきの前庭は、脱穀その他の農作業・籾やタバコ・カンピョウの乾燥場に利用されていた。
 その他の土地利用として、せんざい畑と称する家庭用野菜を栽培する畑が多くの家にあり、庭先で、ナス・トマト・キュウリ・トウモロコシなどがつくられている。