陸稲 陸稲は、日照りの場合には肥料を多くやり、雨が多い時には肥料を少なくしてつくるのがよいとされている。種子蒔きは五月末から六月中旬にかけて行ない、小麦との二毛作の場合は収穫一月前ぐらいの麦のうねの間に種子を蒔く。九月には払い草と称し雑草を取り除き、十月初旬から中旬にかけて収穫となる。刈りあげられた陸稲は水稲と同様に二日間ぐらい架干(がぼ)し(棒を立て架を作り、それにかけて干す)をする。
大麦・小麦 種子蒔きは十月中旬から末にかけて行なうが、その場合堆肥と肥料と種子を混ぜて一つかみずつほぼ一足間隔においていく。麦踏みは十二月と翌年二月ごろに二回ぐらい行ない、三月の末には鍬で土を寄せてやる。刈り入れは六月中旬から七月にかけて行なう。
葉煙草 品種は野州だるまがほとんどであったが松川種なども作られ、最近は白遠州が大部分を占めている。三月の初めに種子蒔きをし、発芽したら間引きをする。五月の中旬頃畑へ植えつけ、花の部分は咲かせないように摘み取ってしまう。取り入れは七月中旬頃からとなる。昔は幹(かん)干しといって、煙草の幹ごと刈り取り屋根裏に吊して干し、のすまでそのままにしておくという方法がとられていたが、昭和十八年ごろから繩にはさんで太陽の光にあてて干す連(れん)干しに変った。幹干しのほうが品質はよいが収量が少なかったといわれている。煙草の茎一本からは十七・八枚の葉が収穫され、天葉(てんぱ)二~三枚、本葉五~六枚、中葉(ちゅうは)五~六枚、土葉(どは)二~三枚の別になる。十月以降は各葉ごとに葉のしをし、一・二・三と等級別に分ける調理(選別)の作業をして納付の日を待つ。納付日は二ないし三回に分けられており、西部地区は大田原の専売所へ、その他の地区は黒羽の収納所へ馬車などで納付に行った。本村の葉煙草栽培面積は昭和五年に約八〇ha、同十三年約九〇ha、同二十年約一二〇haと増え続けたが、昭和三十年代から急速に減少した。