嫁と婿

485 ~ 486
嫁の立場は低く弱かった。イロリ囲りにおける嫁の座は、身動きのとりやすいキジリ座であり、飯盛りや箱膳洗いは嫁の仕事であった。風呂などは最後であり、嫁に来てからは長い期間蔵の中に入ることができなかったという。
 婿は家庭内でもひかえ目であるが、対外的にも低く、道普請など村仕事のときには特に重いものを持たされたり、集会などの場ではカンタローといって、いつも酒のおかんをする役目をさせられるといったこともあったという。これらは婿がよそ者的な扱いを受けやすいということを示す例であるが、家によってまた入婿の人柄によっては必ずしもそうであるとばかりは限らなかった。