笠石神社

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那珂川・箒川と二つの川にはさまれ、水資源に恵まれた本村においても、日照りが続くと農作物は大きな被害をこうむる結果になる。このような時、一昔前の村人たちは、月次(つきなみ)の鳴井(なるい)様へ参拝したり、水神様へ供物を供えるなどして雨の降ることを祈った。本村の笠石神社においては、主祭神である那須国造の碑の笠をおろし、神官が祝詞を唱えて雨乞いをするということが真剣に行なわれていた。科学の発達した今日でも天候条件の変化は生死にかかわることもあり、まして自然現象の科学的解明がなされなかった時代の人々にとっては、神仏に祈願することが唯一の方法だったのである。
 また、笠石神社では子供の虫切りに効験ありとして参拝者がたえない(昔から幼児が夜泣きをしたり、カンを起したりすると、その原因はすべてカンの虫だとして、虫切りを神仏に祈願したのである。ここでは、神官が虫切りを願う子供のはだ着を、お守り札、お椀とともに三宝にのせて祈とうし、そのはだ着をつけ、このお椀でごはんを食べるとどんな強い虫でも必ず落ちるという。)
 発見当時は、たたりのある石と恐れられた国造の碑も、こうして村人の安全祈願のために祀られるようになったことは非常に興味深い。

絵馬 農家では馬の無病息災を祈ってうまやの入口に絵馬を飾った


笠石神社 子供のカンの虫が治ると腹掛けやお碗を奉納しお礼まいりをする