参加者は女性に限られ、普通毎月十九日夜行なわれるが、一月十九日と九月十九日の年二回のみ行うところや、二・三・四・七・十一月の十九日以前の日を選んで行なうところもある。
宿は輪番で、庚申講と同様に掛軸その他を講箱に納めて当番の家へ次から次へとまわしてゆく。
如意輪観音の掛軸の前には、灯明・団子・線香・ご馳走が供えられ、女たちは十九夜念仏和讃を唱える。
十九夜十九夜多けれど 通りの三月十九日
十九夜お念仏始まりて 往生知らずの札をとり
十九夜御堂へ納め置き そして浄土へ参るには
八万四じんの血の池を かすかな池と見て通る
帰命頂礼観世音 七観音なるその内に
如意輪観音お慈悲にて あまた女人の身代りに
血の池地獄へお立ちやる 血の池のがるるお念仏は
秘密を改め精進で 明けまでご無用とりきりに
不浄女人の浅ましさ 今朝まで澄みしがはや濁り
我等のすそなるその水も すすぎこぼすも恐ろしや
天も地神も水神も お許し給えや南無阿弥陀
十九夜様は、安産子育てや女の病に効験があるといわれ、「そのとき使用した灯明をもらって、お産のときにともすと、それが燃え尽きないうちに子供が生まれる」とか「十九夜様の団子を食べるとお産が軽い」などの俗信がある。
ほぼ全村にわたる狭原・小船渡・佐良土・蛭田・新宿・片府田に、如意輪観音像や文字が刻まれた十九夜塔が確認される。
十九夜講の本尊如意輪観音
十九夜塔