妊娠中の心構えとして「死人を見るな」とか「火事を見るな」という禁忌がある。これは「死人を見ると黒あざ、火事を見ると赤あざの子供が生まれる」との俗信があるためで、妊婦の夫でさえも葬儀などには参加しなかったというほど固く守られていた。また、その災いを防ぐには、肌身離さず小さな鏡を腹の中に入れて持ち歩き、鏡のうつる面を外に向ければよいとされ、これをふところ鏡と呼び用いた。その他には、「妊娠中にウサギの肉を食べると三つ口の子が生まれる」とか、「血をあらすからタケノコ・イカ・タコなどを食べてはいけない」などの俗信もある。