結婚式を御祝儀と言い、普通もらう側の家でとり行なう。また招待されることをオヨバレと言う。当日は組内講中の人達が早朝より集まり、種々の準備にかかる。貰い受ける方では、当人および正客様(しょうきゃくさま)と呼ばれる、おじとおば、それに双方の煤酌人計五名がそろって先方の家へ行く。結納の品はこの際目録を添えて煤酌人より先方へ差出すのが普通であった。先方の饗宴が終ると、嫁婿・先方の客人・媒酌人が連れだって貰う方の家へ出発するが、嫁は飾り荷鞍の乗りかけ馬に乗った。到着は夜になってしまうことが多く、提灯で出迎えるが、むかえの人数は三・五・七人のいずれかであった。貰われる者は縁側から上がるのが習わしであった。それより、嫁婿は服装を改めて席につき三三九度の盃をかわし式は終了する。また三三九度の時には謡(うたい)が入った。先方の客人には相伴(しょうばん)と称するお相手役をつけて充分に御馳走をし、その上三つ組の大盃を進めてもてなした。先方の客人が皆帰ると、後見(あとみ)といって改めて酒宴を開き夜を徹して歌ったり踊ったりしたという。嫁または婿となった者は挙式の翌日近所を見舞った。
三つ組盃 婚礼の三三九度に用いた
飾り鞍(乗りカケ)