狢(むじな)のしかえし

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あるとき、おじいさんが畑で仕事をしていると、狢(むじな)がそばにやってきてばかにしたように笑っている。おじいさんが怒って追って行くと山へ入ってしまい、帰ってくるとまた来ている。そこで、おじいさんは狢が来る場所に、とりもちをしかけておくことにした。狢はまんまととりもちにかかり、逃げることもできずさんざんおじいさんにたたかれた。狢はたまらず死んだふりをしたので、おじいさんは家に持って帰り軒場(のきば)につるしておいた。しばらくしておばあさんがそばで米つきを始めると、狢が「おれが米つきしてやっから、繩をほどいてくろ。」と何度も頼むので、おばあさんは可愛そうに思って繩をほどいてやった。すると狢はおばあさんを殺して鍋で煮てしまった。そしておばあさんの姿に化けておじいさんが帰って来るのを待っていた。やがておじいさんが帰って来ると、おばあさんに化けた狢は、作った汁をおじいさんにすすめた。おじいさんはそうとは知らず食べてしまった。狢は、それを見るなり外へ飛びだして着物をぬぎ正体をあらわし、「ばば汁くったんべ、ばば汁くったんべ。」と悪態をついて山へ逃げて行ってしまった。