お寺にお小僧さんが三人いた。そこの和尚さんはとてもすばらしい鈴を持っていたのだそうだ。三人のお小僧さんはそれが欲しくてしょうがない。和尚さんは仕方なく、「歌の上手な者にやろう」と言ったので、三人のお小僧さんはそれぞれ苦心して歌を詠んだ。最初は花屋からあがっているお小僧さんが、「おらがところの桜花、ちょいとさわれば花がちりりん」。次に魚屋からあがっているお小僧さんが、「おらがところの塩魚、ひとはしくえばべろがぬけりん」。三番目は刀屋からのお小僧さんが、「おらがところの脇差(わきざ)しで、ちょいとふれれば腹が切りりん」。お小僧さんたちは三人とも上手で、誰に鈴をやったらよいか和尚さんにはわからなくなってしまった。そこで「三人小僧に責められて、このりんやることあかんべろりん」と歌を詠んだ。