お金にかわった六十六部

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ある人が海に遊びに行ったら、たいそう立派な金の柱が七本あった。「ああ、あんな金の柱があったらうちも貧乏しめえ。」などとつぶやきながら家へ帰った。その日の夕方のこと、六十六部(行脚僧)が七人来て、一夜の宿を願いたいと申し出た。その家の人は、「泊めてやりてえが、ご覧のとおり、泊める席がねえから泊めらんねえ。」と一旦は断ったが、「ああ、そうだ、蔵でもよければ蔵に寝せっぺ。」と言って蔵に泊めてやった。やがて朝となり、蔵の戸をあけてやろうと思って蔵に行ったら、六十六部は一人もおらず、かわりにお金が山と積まれてあった。