濁音が多い 「カ」と「サ」と「タ」行音が、濁ったり詰ったりして発音されることが多く、特に言葉の二字目に「カ」行や「タ」行の音がくる場合は、濁音化が顕著にみられる。
カ行――あぎっぺえ(飽きやすい)・なぐれる(なくなる)
タ行――かだす(かたずける)・あづい(暑い)
変則的な発音が多い 同行中での発音の変化や他行音との変化など変則的な発音にはいろいろあるが、特に目につくのは、「イ」と「エ」の区別があいまいで、「イ」を「エ」に発音することが多く、また、その逆の場合もあるということである。
① 同行中での変化
いやしい→えやしい いど→えど
かえせ→けえせ おくれ→おごれ
あそび→あすび あさい→あせえ
あれほど→あらほど あきない→あきねえ
② 他行音との変化
ひたい→したい しぬ→しぐ
うめる→のめる どなる→じなる
③ 「ら」行音が言葉の二字目に来る場合「ん」に変化する
しらない→しんね たりない→たんね
するな→すんな けれども→けんども
だろう→だんべ
④ 「アイ」などの連母音は「エー」の長音となる
イタイ→イデー ダイコン→デーコン
敬語が少ない 今回採集された方言中はっきり敬語と判別できたものは、接頭語の「お」や名称の語尾につく「ちゃん」「やん」などを除いて、「なんしょ(なさい)」と「な」や「くだ」の語尾について軽い敬意をもった命令を表わす「せえ(さい)」および「せえ」と同意でより敬意が強い「はれしょ」だけであった。それとは逆に、「べえ」・「ぺ」「げえ」を用いて話すことが多く、会話がはずむと尻上がりの語調となる特徴がある。
動物名の最後に「め」をつける うしめ・うまめ・いぬめ・ねこめ・ちんちめ(雀)・かんかんめ(蚊)等