機構の変遷

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元湯津上村吏員斎藤郁氏の記録によると、湯津上村の役場について「明治十八年二月、大字湯津上に役場を置くこととなり、佐藤寅松所有家屋を仮に借用し、明治二十年三月、植竹已之吉宅に移転、明治三十三年九月、木村貞蔵宅に移した」とあるが、厳密に言えば、これは当初旧湯津上村(大字ではない)戸長役場であったものを、明治二十二年の町村制施行により、新生湯津上村役場に衣更えをしたものであろう。発足当初の役場の機構というものは、村長以下助役・収入役を含めて四、五名が普通で、その後数十年昭和初期ごろまでは、三役以外の吏員は大方が二、三名であったようである。つぎに明治四十三年の給与規定を掲げて、時代の推移をふり返る一端とする。
  諸給与規程
      俸給報酬
第一条 本村吏員ノ月俸及報酬額ハ下表ニ定ム

職名一級二級三級四級五級六級
村長十五十四十三十二
助役十二
収入役十二
書記
委員一人年額十円以下
区長惣員年七十円以上百円以下

第二条 本村吏員ニシテ特ニ功労アルモノハ一級額以上ニ増級スルコトアルヘシ

第三条 俸給報酬ハ毎月二十五日支給ス 但休日ニ当ルトキハ繰下トス

第四条 俸給報酬ハ新任増俸減俸トモ総テ発令ノ翌日ヨリ計算ス

第五条 懲戒処分ニ依リ免職セラレタルモノハ当月分ノ報酬ハ日割ヲ以テ支給ス

第六条 退職又ハ死亡ノトキハ当月分俸酬金額ヲ支給ス

第七条 疾病ノ為メ欠勤三十日ヲ超ユルモノハ月俸酬半額ヲ給ス

但公務ノ為メ傷夷ヲ受ケ若クハ疾病ニ罹リ欠勤スルモノニハ月俸酬金額ヲ給ス 私事ノ故障ニ依リ欠勤十五日ヲ超ユルモノハ半額ヲ給シ三十日ヲ超ユルモノハ全ク之ヲ給セス

      旅費
第八条 本村吏員職務ノ為メ旅行スルトキ左表ノ旅費額ヲ順路ニ依リ支給ス

職名汽車賃
一哩ニ付
船賃
一浬ニ付
車馬賃
一里ニ付
日当
一日ニ付
宿泊料
一夜ニ付
村長三十五十
助役
収入役二十五四十五
書記
委員
区長

第九条 汽車旅行ハ哩数水路旅行ハ海里数ニ応シテ給シ其他ノ旅行ハ陸路里数ニ応シ車馬賃ヲ支給ス 宿泊料ハ夜数日当ハ日数ニ応シテ支給ス

第十条 強雨積雪又ハ道路険悪等ノ為メ定額ノ車馬賃ニテ弁シ難キ場合ハ其実費ヲ支弁スルコトヲ得

第十一条 汽車賃船賃車馬賃ハ其通過セシ路程ヲ合算シテ之ヲ支給ス

第十二条 旅行両会計年度ニ跨ルトキハ毎年度区分シテ旅費ヲ計算ス

第十三条 本村内ニ出張スルトキハ一日金二十銭ヲ給シ宿泊ヲ要スル場合ハ其実費ヲ支給スルコトヲ得

      諸給与
第十四条 本村吏員ニシテ特ニ勤労アルモノニハ慰労金ヲ給スルコトヲ得

第十五条 本村吏員公務ノ為メ傷痍ヲ受ケ若クハ疾病ニ罹リタルトキハ相当ノ療治料ヲ給スヘシ

第十六条 宿直賄料ハ一夜金五銭ヲ給スヘシ

(蜂巣丈平家史料)

 昭和時代となり、殊ニ戦時態勢下に入るに及び、次第に職員数も増してきた。つぎに昭和十七年当時の、村長以下職員を掲げる。
  村長  増山稲麻
  助役  花塚兼次郎
  収入役 鈴木真六
  書記  斎藤郁  永山健寿  永町好雄
      長谷川重 諏合与吉  墨谷渡
      奥沢栄  船山芳房
  給仕  滝田義祐 榊原喜四郎
 つづいて戦後の時代に至っては、社会経済情勢の進展と一般の生活態様の向上に伴って、行政はますます複雑化し、上は国より下末端の町村に至るまで、その機構は膨張の一途をたどってきた。
現在の行政機構 つぎは(前頁)現在の湯津上村行政機構一覧で、七課一室、職員八〇余人、ほかに各種委員会がある。

村の行政機構図


地区の行政機構図

 湯津上村決裁規程(昭和四十七年六月一日 訓令第二号)
        改正 昭和五〇年七月一日訓令第三号
           昭和五〇年一一月二五日訓令第七号
           昭和五二年三月二九日訓令第一号
 (趣旨)
第一条 湯津上村役場における決裁については、別に定めるものを除くほかこの訓令の定めるところによる。

 (定義)
第二条 この訓令における用語の意義は、次のとおりとする。

一 「決裁」とは、村長又はその委任を受けた職員(以下「決裁責任者」という)が、その権限に属する事務処理に関し意思決定を行なうことをいう。

二 「専決」とは、決裁責任者が、その責任において、その権限に属する特定の事務に関し、所管の機関に意思決定することをいう。

三 「代理決裁」とは、決裁責任者が、その責任において、決裁責任者又は専決者が不在のときに、その権限に属する事務の処理に関し、所管の職員に意思決定させることをいう。

四 「不在」とは、出張その他の事由により、決裁又は専決を経ることができない状態をいう。

 (決裁の手続)
第三条 事務は原則として、順次係の上席者を経て決裁責任者の決裁を受けなければならない。

 (代理決裁)
第四条 村長が不在のときは、助役がその事務を代理決裁する。

2 課長が不在のときは、その課の上席者がその事務を代理決裁する。

 (代理決裁の特例)
第五条 前条の場合においても、あらかじめその処理について特に指示を受けたもの又は緊急やむを得ないもののほか、重要なる事項及び異例若しくは疑義のある事項は代理決裁をしてはならない。

 (代理決裁後の手続)
第六条 代理決裁した事項については、施行後すみやかに後閲を受けなければならない。ただし、軽易な事項については、この限りでない。

 (村長の決裁事項)
第七条 村の事務のうち重要な事項及び異例若しくは疑義のある事項又は新規な事項については、すべて村長の決裁を経なければならない。

2 前項の重要な事項を例示すると、おおむね次のとおりである。

一 村行政の綜合調整及び運営に関する一般方針の確定に関すること。

二 特に重要な事業計画の樹立及び実施方針に関すること。

三 儀式及び表彰に関すること。

四 各執行機関の総合調整に関すること。

五 議会の招集議案の提出その他村議会に関すること。

六 請願及び陳情に関すること。

七 異議の申立て、訴願、訴訟、和解及び調定に関すること。

八 条例、規則、訓令その他の重要な例規の制定及び改廃に関すること。

九 特に重要な許可、認可その他行政処分に関すること。

十 予算編成及び決算の確定に関すること。

十一 職制に関すること。

十二 職員の賞罰に関すること。

十三 その他特に重要な事項に関すること。

 (助役の専決事項)
第八条 助役の専決事項は、次のとおりとする。

一 別表第一及び別表第二に定める助役の決裁区分に属する事項に関すること。

二 前号に定める事項のほか、第七条第二項以外の重要な事項に関すること。

 (課長の専決事項)
第九条 課長の専決事項は、別表第一及び別表第二に定める課長の決裁区分に属する事項とする。

 (承認による専決事項)
第十条 助役及び課長は、前二条によりその専決事項とされていない事項であっても、その性質が軽易に属し、これに準じてよいと認められるものは、あらかじめ上司の承認を得て専決することができる。

 (専決の制限)
第十一条 この訓令に定める専決事項であっても、特命事項、重要若しくは異例と認められる事項、新たな事項又は規定の解釈上疑義がある事項は、上司の指示を受けなければならない。

 (専決の移譲)
第十二条 課長は、村長の承認を得て、その専決事項の一部を所属職員に専決させることができる。

2 前項の場合においては、行政管理課長に合議しなければならない。

  附則
1 この訓令は、昭和四十七年六月一日から施行する。
2 湯津上村決裁規程(昭和三十九年訓令第二号)は、廃止する。
  附則(昭和五十年十一月二十五日訓令第七号)
この訓令は、昭和五十年十一月二十五日から施行する。
  附則(昭和五十二年三月二十九日訓令第一号)
この訓令は、昭和五十二年四月一日から施行する。

別表第一
一 庶務関係
決裁区分助役行政管理課長課長共通備考
決裁事項
課長会議招集、案件
庁中連絡会議招集、案件
事務引継ぎ課長
公印調製、改廃
文書収受、発送文書の収受、配布、発送
保存、廃棄保存文書の廃棄、書庫の管理
文書の処理指導、統制文書の取扱い指導統制
報告、調査、照会、回答①調査、報告、進達副申その他これらに類するもの①定例的な調査、報告、進達副申その他これらに類するもの。
②指令、通知、申請、照会、回答②軽易な指令、通知、申請、照会、回答
証明、閲覧異例なもの原簿による諸証明、謄抄本及び写しの交付並びに閲覧その他定例的なもの
その他の文書重要な出版物の刊行①原簿、台帳等の作成、記載の確認出版物の刊行については行政管理課長に合議すること。
②例規集、統計書等の出版物の贈与
③定期、軽易な出版物の刊行
法制公示、令達(告示、公示、通達その他)①他官庁からの依頼の告示、公示の掲示軽易定例的なもの行政管理課長に合議すること。
②村役場掲示板の管理
例規集例規集の編集、発行、加除整理例規集の登載改廃同右

二 人事関係
決裁区分助役行政管理課長課長共通備考
決裁事項
職制所属職員の事務分担
任免任用臨時職員
普通退職吏員以外の職員臨時職員
異動同右同右
出勤停止及び休職同右
年次休暇等の付与職務に専念する義務の免除係長以下
年次休暇等課長係長以下
その他の承認同右同右
服務時間外(休日)勤務命令課長係長以下
当直勤務命令該当職員全員
服務制限営利企業等の従事許可①職員章の交付特殊な身分証票の交付
②身上諸届の処理
③出勤簿の管理
旅行命令村内課長係長以下
村外県内①課長係長以下で一日
②係長以下で二日以上
県外全職員
給与給料、手当①定期昇給
②扶養手当、通勤手当等の認定
退職手当裁定

三 財務関係
決裁区分助役行政管理課長主務課長備考
決裁事項
予算の執行調定,収入の通知税関係村税延滞金等
税外関係補助金、交付金、寄附金、繰入金、繰越金、地方債賃貸料、預金利子、不用品売払代金使用料、手数料
支出の決定報酬、給料、職員手当、共済費、賃金全部
報償費、旅費一件五十万円以下一件十万円以下一件五千円以下
需要費
役務費、委託料、使用料、賃借料一件五千円以下
工事請負費、原材料費、公有財産購入費
備品購入費一件五千円以下
負担金、補助及び交付金
扶助費、償還金、利子及び割引料全部
公課費全部
予備費の支出一件五十万円以下
支出負担行為支出決定の決裁区分が助役に属するもの支出決定の決裁区分が行政管理課長に属するもの支出決定の決裁区分が主務課長に属するもの
支出命令支出決定の決裁区分が村長に属するもので一件百万円以下のもの支出決定の決裁区分が助役、行政管理課長に属するもの支出決定の決裁区分が主務課長に属するもの
財産公有財産年間の賃貸料一万円以下の貸付、行政財産の軽易な目的外使用の許可土地建物の登記土地の立入測量
物品取得価格一万円以下の物品の交換、不用の決定物品の出納命令
債権額面一万円以下の債権の徴収停止保全取立
基金運用状況に関する書類の作成
公の施設定例的な利用の許可

    監査委員
 監査委員は、地方自治法(昭和二十二年法律第六七号)第二百二条の規定に基づき、学識経験を有する者一名、議会の議員のうちから一名の二名を選任することとなっている。
 選任された監査委員は「監査委員に関する条例」に基づいて監査を実施している。
 歴代委員は次のとおりである。
歴代監査委員氏名
学識経験委員議会選出委員
氏名就任年月日退任年月日氏名就任年月日退任年月日
金森耕太二二・八・九四〇・三・二八五味淵金蔵二二・八・九二六・四・二八
斎藤郁四〇・三・二八四六・三・江崎信弥二六・六・六三三・三・二〇
谷国夫四六・三・一五五〇・四・二〇深沢国盛三三・四・二一三四・七・三〇
吉成孝一五〇・五・九蛭田正一郎三四・九・三〇三八・四・三〇
永山秀樹三八・五・八四二・四・二八
坂主行雄四二・五・四四六・四・二九
諏合義弘四六・五・四五〇・四・二九
高野喜一五〇・五・九

         監査
    監査委員条例(昭和三十九年三月三十一日条例第十号)
 (監査委員の定数)
第一条 本村の監査委員の定数は、二人とする。
 (議員のうちから選任する監査委員の数)
第二条 議員のうちから選任する監査委員の数は、一人とする。
  附則
1 この条例は、昭和三十九年四月一日から施行する。
2 監査委員設置条例(昭和三十年湯津上村条例第七号)は、廃止する。
    監査委員に関する条例(昭和三十九年三月三十一日 条例第十四号)
 (この条例の趣旨)
第一条 この条例は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下「法」という。)第二百二条の規定に基づき、監査委員について必要な事項を定めるものとする。

  (請求及び要求による監査)
第二条 法第七十五条第一項及び法第二百四十二条第一項の規定による監査の請求又は法第九十八条第二項、法第百九十九条第五項及び第六項、法第二百三十五条の二第二項並びに法第二百四十三条の二第三項の規定による監査の要求があったときは、監査委員は七日以内に監査に着手しなければならない。

 (定例監査)
第三条 法第百九十九条第三項の規定による定例監査は、毎年七月及び二月に行なう。

 (現金出納の検査)
第四条 法第二百三十五条の二第一項の規定による現金出納の検査期日は、毎月十五日とする。ただし、休日その他やむを得ない理由があるときは、これを変更することができる。

 (決算等の審査)
第五条 法第二百三十三条第二項の規定により、決算及び同条第一項の書類が監査委員の審査に付せられたとき又は法第二百四十一条第五項の規定により、基金の運用の状況を示す書類が監査委員の審査に付せられたときは、監査委員は、審査に付せられた日から二十日以内に意見をつけて村長に回付しなければならない。

 (公表)
第六条 監査委員の行なう公表は、湯津上村公告式条例(昭和三十三年条例第八号)の規定によりこれを行なう。

 (その他)
第七条 この条例に規定するもののほか監査等について必要な事項は、監査委員が協議して定める。

  附則
1 この条例は、昭和三十九年四月一日から施行する。
2 監査委員に関する条例(昭和三十年湯津上村条例第八号)は、廃止する。