旧民法(明治二十九年法律第八九号)においては、身分関係の確定を戸籍の記載のみに頼ることとしたため、戸籍制度も古来の行政的、戸口調査的性格から一歩前進して、司法的、身分公証的性格を持つこととなり、戸籍法の一大変革が要求された。これがため手続法として、明治三十一年六月法律第一二号の所謂旧戸籍法の制定公布となった。そしてこの法律は同年七月十六日から施行され、これにより明治四年布告の戸籍法、明治十九年内務省令第一九号及び同年内務省令第二二号は、寄留に関する規定を除いて、いずれも右戸籍法施行の日から廃止された。この戸籍法の特色としては、戸籍制度の本質的な改革にあったことは勿論であるが、身分登記の制度の樹立したことは特記すべきである。