戦争により夫を失った未亡人が大量に社会にあふれ、これらの寡婦、又は母子は戦後の不安定な経済事情のもとに、ますます生活の困難な状態に追い込まれることになった。
これに対して、昭和二十四年「遺族援護に関する決議」(衆議院)「未亡人並びに戦没者遺族の福祉に関する決議」(参議院)によって遺族対策としてとらえる傾向にあったが、同年十一月三十日、閣議了解を得た「母子福祉対策要綱」が作成され、これによって「生活保護法」など関連制度において、母子家庭を対象とした優遇措置がとられることとなった。
その後、昭和二十七年十二月二十九日、法律第三五〇号として「母子福祉資金の貸付に関する法律」が公布された。その後においても、母子福祉のあるべき基本原理の明定と、それに基づく総合的な母子福祉対策を規定した法律の制定の要望が全国未亡人団体協議会をはじめとする各種団体からだされ、昭和三十九年七月一日「母子福祉法」が法律第一二九号として成立した。