第二次世界戦争終了後、連合国軍の対日占領の初期には、いわゆる民主化政策が行なわれ、日本の経済と政治とに大きな変化をもたらしたが、農地改革はその最も重要な一つであった。しかも他の民主化政策とはちがって、農地改革はまず日本政府の自発的措置として始まった。それは高度に発達した独占資本主義の体制と、地主的土地所有制との矛盾は、すでに戦争経済の時期に顕現化し、地主的土地所有制の何らかの形における修正が不可避となっていたからである。
戦後の食糧危機と、労働者・農民の闘争の高揚への懸念とは、この修正を戦時経済のもとで企てられていたものよりも、はるかに徹底的に急速に行なうことが必要であった。