昭和二十六年の〈農業委員会法〉(昭和二六年法律第八八号、〈昭和二十九年六月農業委員会等に関する法律〉と改称)により、それまで市町村・都道府県に置かれていた〈農地委員会〉〈農地調整委員会〉〈農業改良委員会〉を統合して設置された地方自治体の補助的行政機関で、市町村に置く。その所掌事務は、数度の法改正を経て、現在(昭和四十五年以後)、執行機関として自作農創設維持・農地等の利用関係の調整・交換分合などの事項を処理するとともに、前記に関する事務、さらに地域農業振興のための計画樹立および実施の業務など(このほか、従前は主要食糧の供出割当事務を含んでいたが、昭和三十年以後、供米制度の事前売渡申込制度への切りかえによって、この面での機能は消失した)を行なう場合と、諮問機関として以上のごとき地域の農業・農民に関する事項について意見を公表し、他の行政庁に建議し、または、その諮問に応じて答申する場合とに分れる。
このように委員会は国あるいは地方公共団体の重要な農政上の事務に参与し担当する機関ではあるが、一方農民の代表機関として農民が自主的に運営するたてまえから、農地統制事務をのぞいて地方首長の指揮監督を受けることはない。また委員会は、選挙による委員(定数は一〇~四〇人の間で条例で定める)と、市町村長の選任による委員(七人以内)とからなり、委員会が任命する職員とともに、身分的には地方公務員(ただし委員は特別職非常勤)であるが、委員・職員に要する経費は予算の範囲内での負担とされている。
なお昭和二十九年に、それぞれ全国農業会議所、都道府県農業会議(特殊法人)が設けられて、系統農政団体としての側面が強化され、またその活動分野と機能が拡大された。