農業者が、農産物、蚕繭、家畜その他の共済目的について一定の共済掛金を支払い、災害、不作または不慮の事故があった場合に、その被害額に応じて共済金の支払を受ける制度である。
日本の農業共済は、農業保険制度として昭和十三年に公布された〈農業保険法〉(昭和十三年法律第六八号)と、昭和四年から施行された〈家畜保険法〉(昭和四年法律第一九号)の両制度を合併し、さらに強力な農業災害補償制度として昭和二十二年に公布された〈農業災害補償法〉に基づき新発足した。この制度は事業の系統別に、農業共済組合の行う共済事業、農業共済組合連合会が農業共済組合に対して行なう保険事業、および政府が農業共済組合連合会に対して行なう再保険事業からなっており、このほかに農業共済組合連合会の保険収支の長期的均衡を保つために、〈農業共済基金法〉(昭和二十七年法律第二〇二号)に基づく農業共済基金の制度が設けられている。また、農業共済はその範囲によって農作物共済、蚕繭共済、家畜共済および任意共済に区分される。