◎水稲
米の生産状況は、作付可能面積が一、四六〇ヘクタールであるが、水田総合利用対策事業の実施により、作付転換、土地改良事業(通年施行)等を推進しており、米の作付面積は本年度で一、四二〇ヘクタール程度である。水稲の作付体型は、早植栽培、早植が七〇%、中晩性が三〇%で、特に食味の点に重点を置き、コシヒカリ・日本晴の両品種で七〇%を占めている。水稲の栽培技術については、一応成績を上げており、村平均四八〇キログラム(一〇アール当り)を達成している。作業形態については、個人装備が多く、最近各地区において共同栽培等の組織化が進み合理化を図ってきているほか、農協を中心とした経営委託事業、農作業受委託事業が進められ農作業、農業経営の合理化が図られてきた。
今後は、各地区に農業近代化施設(育苗施設・乾燥施設)を設置し、営農集団の組織の育成強化を図り、水稲栽培の合理化を展開する。
◎キュウリ・トマト・イチゴ
現在主力は、施設ハウス栽培であり、夏秋キュウリの露地栽培五ヘクタールを除き、ほとんどがハウス栽培である。キュウリ六ヘクタール、イチゴ五ヘクタール、トマト四・五ヘクタールでこの内共同育苗を実施しているのはトマトだけである。他については個人育苗から個人集果までそれぞれ個人経営であり、出荷についてだけ共同出荷体制が確立されている。生産技術は成果を上げ一〇アール当り平均キュウリ一八万三、四〇〇円、トマト九一万八、五〇〇円、イチゴ九〇万四、〇〇〇円程度の所得をあげ、今後はこれらの作目別育苗施設と選果所の建設を図り、生産団地化を推進し、共同育苗から共同出荷までの体制、組織作りと強化を進める必要がある。
◎にら・ねぎ
ねぎについては、湯津上村農協と協力して「入山ねぎ」の名前で、東京市場に出荷している。しかし、数年前より、人手不足から栽培面積が頭打ちの状態である。にらについては、昭和四十四年から群馬県の先進地に学び、現在は順調に伸びている。現在ハウス面積で四ヘクタール栽培しており安定した収入を得ており、冬期に栽培が集中するので非常に条件がよく年々栽培面積は増加している。ねぎ・にらともに市場の需用も強く、有利な作目であるので今後の技術を生かす意味でも作付面積を増加するよう推進する。
◎梨
現在、湯津上東部地区(入山・西の根・中の原)を中心に三五ヘクタールの栽培が行なわれているが、高度の栽培技術等の導入による技術の向上と、梨園の集団化をはかり、村の果樹濃密団地計画に基づき振興推進し、昭和五十五年度作付面積を七〇ヘクタールの団地化を目標に推進する。
◎乳牛
乳牛については、現在一、〇八〇頭、総乳量三、五〇〇トンであるが、今後優良牛の飼育及び飼料作物の増反を計画して頭数の増加及び乳質の改良を行なってゆく方針である。現在、大野の放牧場において、毎年一二〇頭程度の仔牛の基礎体力造りを行なっているが、四二ヘクタールの面積では若干狭少である。何れにしても酪農家一戸当り平均飼養頭数を二七頭目標に第三次酪農近代化計画を樹立し、これに併せて環境保全に努め、安定した酪農振興をはかる。
◎肉用牛及び繁殖牛
現在、肉用牛及び繁殖牛を含め三八〇頭飼養されているが、現在までは、飼料等の問題でそれぞれ、飼養状況が変化したものの、今後は集握飼養計画を樹立し、本村内に肥育、繁殖の二団地形成の振興を行ない、年間二〇〇頭以上の出荷ができるよう技術指導を展開する。
◎肉豚及び繁殖豚
狭原地区に帝人関係の委託肉豚飼育が導入され、湯津上村養豚組合を結成して東京方面へ集荷販売してきた。
昭和四十五年~四十六年頃から豚コレラの予防について自主防疫を行なっているが、金丸原開拓地区に日清畜産センター及び二見遺伝研究所と企業養豚農家の進出に刺戟をうけ、近年、多頭飼育農家がぼつぼつ見えてきたが、まだまだ小数飼養農家が多く、生産量は年々増加し、現在保有頭数は四、〇〇〇頭程度である。一方多頭飼育農家が増えるかたから、公害防止の問題、環境汚染問題も発生している現状をも見のがせない。今後は、生産豚のうち五〇%以上は登録豚生産に重点をおき、多頭化飼育農家育成推進を進め、品種の改良推進を展開し、畜産公害等の防止を図りつつ養豚振興をはかる技術の向上につとめる。