(2) 目標とする営農類型

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 目標とする営農類型は次のとおりであるが、現在においては経営規模拡大には立地的に制約があり、農用地の流動化による所有耕作権の移転が普遍化するまでには相当の年月を要するものと考えられる。従って当面は賃貸借による経営面積の拡大を中心にして目標達成をはかる。なお、農協が中心となった農作業受委託作業、農業経営委託作業の推進をはかり、基盤整備の完了地区より農作業の機械化を容易にするとともに、概ね集落単位に生産組織を整備(営農集団の育成)し、これを中核として大型機械の共同利用を行ない、個別経営の過剰投資を回避する。なお、米麦収穫用機、乾燥調整施設及び各種流通施設は農協が中心となって整備し、共販体制を確立することによって目標とする営農類型の達成を側面的に促進する。
農業生産技術の改善目標
作物名問題点改善方向
1 合理化施設の不足(育苗,田植,収穫,貯蔵)1 合理化施設については,現在1ケ所で100ha程度の処理能力の施設(農振総事業で建設)を持ち西部地区を対象に事業を推進しているが,今後は村内に2ケ所,処理能力800ha程度の施設を建設設置したい。
2 組織育成の強化2 概ね30~60ha,関係農家15戸~30戸程度で1集団の稲作協業組合を組織し,品種統一,栽培管理統一を進め村内に20集団を目標に推進する。
3 地力の低下3 数年来有機質の投入がほとんどなされないほ場なので,今後は畜産農家と稲ワラ交換,又はエづくり銀行を設立し安定した米作りを展開する。
トマト(ハウス)
きゅうり(〃)
イチゴ(〃)
ニラ(〃)
1 加重労働1 これらの作目は選別等で労力で加重負担になる。今後はトマトについては選果場を建設し,他作目については共同処理場を設置する。
2 規模拡大が困難2 施設整備の投資負担,労働力の加重等に問題があり伸び悩みであるが,今後は共同育苗施設等を設置し規模拡大を推進する。
3 農業の適正使用3 農薬の使用については,製造所又は関係機関の指導強化を図り,薬害防止に万全を期するよう指導強化を図る。
乳用牛1 改良の低下1 牛個体の改良が低下しているため,優良精液の助成事業,補助事業による乳牛導入を推進し,能力のある牛を確保するよう推進する。
2 飼料作物栽培のための水田裏利用の低下2 水田裏飼料作付面積が700ha程度あるため,これらを今後期間借地等により栽培できるよう推進する。
3 乳質改善3 乳質の改善については,専門酪農協が中心になって行なっているが,今後は村でも牛舎の改良,環境の整備,牛個体の衛生等に結びつく補助事業,又は融資事業に取りくむべく助成策をこうずる。
豚・和牛1 豚の繁殖,整理1 公害により規模拡大は今後はむずかしいので,個体改良により少数頭数飼養における収入増大を推進する。
2 豚の衛生管理の不備2 現在豚の衛生については,毎月1回指導に当たっているが,畜舎等の整備が不完全なこともあってむづかしいが,衛生薬剤適正使用,豚の衛生指導事業を展開して,処理にあたる。
3 豚の自給飼料確保の低下3 現在ほとんどが購入資料で飼育しているが,今後は大麦の共同栽培が展開できるよう事業推進を図り,安定飼料確保を図る。
4 和牛の個体販売体制確立4 現在和牛については,農協(70%)と商協(30%)の二本立で処理しているが,今後は農協一本化への販売体制を確立して安定した販売体制の確立を図る。
5 牛の自給飼料作の低下5 豚と同じくほとんどが購入で,今後は自給飼料作付拡大のため裏作麦の共同栽培事業等を推進する。
1 選果の合理化1 現在20haの収穫面積があり,各戸が手選果で処理しているため共同選果場建設,収穫面積を70haまで増加させる。
2 樹園地の整備2 山成樹園地が多く,今後は大型農業機械で栽培,合理化が図られるようほ場,農道等の整備をするほか,防除,収穫等が安定的に営めるよう推進する。
畑作野菜
(里芋
バンダム
冬とりかんらん
夏きゅうり)
1 畑作野菜の地力低下1 畜産農家と堆きゅう肥料との交換事業を展開し,地力増強を推進する。
2 畑作野菜の収量低下2 単位当りの収量が低く,今後は共同防除,輪作体系の確立をはかり,安定した収穫量の確保を図る。
3 価格の不安定3 全量農協の出荷体制を確立し,情報体制の確立も併せて行ない生産販売の安定をはかる。
1 桑園の団地化1 桑園の団地化を強力に推進し,共同作業による安定的生産体制の確立をはかる。

集出荷,販売改善の方向
作物名問題点改善方向
トマト,ニラ,梨,イチゴ,きゅうり1 共同選果体制の不備梨とトマトの併用選果施設を整備新設し,共同による生産物の処理をはかる。他の作目については,共同作業による生産物の処理を集荷処理場の建設整備により推進する。
2 法人化組織体制の不備今後は一定規模以上の生産者が多発するので,法人化組織へと移行するよう指導推進する。
畜産1 集乳体制不備現在の個別集乳となっているが,今後は村内に大規模ミルククーラーステーションを建設し,集乳体制販売体制の確立を推進する。

目標営農類型の概要
類型経営農用地面積作目構成労働力構成資本装備所得目標
ha千円
水稲7.0水稲7ha2トラクター・コンバイン・乾燥機・田植機8,000
0.2
7.2
水稲+酪農2.0水稲2.0ha(農協委託)2トラクター・ハーベスター・ワゴン・マニアスプレッター・散布機・牛舎1式15,000
0.1乳牛40頭
2.1
水稲+ハウスイチゴ2.5水稲2.5ha2トラクター・バインダー・田植機・連棟ハウス1式6,500
0.1ハウスイチゴ2,000m2
2.6
水稲+養豚2.0水稲2.0ha2トラクター・バインダー・田植機・豚舎1式7,500
0.2養豚15.頭
2.2
水稲+ハウスニラ3.0水稲3.0ha2トラクター・コンバイン・田植機・乾燥機・ハウス1式6,000
0.1ハウスニラ1,500m2
3.1
水稲+ハウストマトキュウリ25水稲2.5ha2トラクター・バインダー・田植機・連棟ハウス8,000
0.1ハウストマト2,500m2
2.6水稲2.5ha
ハウスキュウリ2,500m2
乳牛+畑野菜2.5サトイモ0.5ha2トラクター・ハーベスター・散布機・ワゴン・マニアスプレッター・牛舎1式14,000
牧草地1.5バンダム1.5〃
4.0ワサビ0.5〃
乳牛35頭
酪農4.0乳牛55頭2トラクター・ハーベスター・牛舎・マニアスプレッター・レーキ・ヘーベラー等22,000
草地2.5
6.5
0.53.5ha3近代果樹棚・トラクター・防除機・ドレンチャー20,000
3.5水稲0.5〃
4.0
水稲+梨2.51.5ha2トラクター・バインダー・田植機・防除機・乾燥機11,000
1.5水稲2.5〃
0.2
4.2
桑+畑野菜2.0サトイモ1.5ha2トラクター・防除機・トレラー5,000
2.0畑ワサビ0.5〃
4.0サツマイモ0.5〃
2.0〃
養豚2.0水稲1.5ha(農協委託)2トラクター・マニアスプレッター・ワゴン・トラック・ローダー・豚舎1式・ふん処理1式23,000
0.270頭
2.2