1 郵便制度

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 明治維新前、書状の送達は飛脚によって行なわれ、維新後もしばらくこの制度を踏襲した。明治元年設置の駅逓司がその事務を統轄し、同年九月の駅逓規則、明治三年の郵便規則は、いずれも飛脚制度の準則を示したに過ぎない。翌四年三月東京一二カ所、西京七カ所、大阪八カ所に書状集箱を設け、賃銭切手を貼付せしめて、一日一回東京・大阪から交互に郵便を発することになった。すなわち新式郵便制度の創始である。
 翌年七・八月のころ横浜・神戸・長崎・函館・新潟の五港に郵便役所を設け、明治五年三月郵便規則を発布して以来、その組織をほとんど全国に及ぼし、明治十年二月には万国郵便連合に加入して、内外にわたり郵便制度の普及整備をみた。この創始に大なる貢献をなしたのは前島密であって、郵便為替・貯金の創設・電信業務の改良は同人に負うところが多く、郵便・郵便切手をはじめ、多くの郵使用語は、またその発案に係る。
 明治五年の郵便規則は、のち屡次の改訂を経て明治十六年一月の郵便条件となり、郵便物を第一種より第四種に分け、料金の均一主義を徹底せしめ、同年三月別に駅逓区編制法を発布して全国を五二の駅逓区に画し、各区に駅逓局出張所を設けて管内の郵便局(明治八年一月郵便役所を局と改称)を監督せしめた。
 小包郵便の創始は明治二十五年六月の小包郵便法によるが、同法は明治三十三年三月郵便法の制定せられるに及び、郵便条例中の郵便に関する他の条項とともに同法に包含せられ、また、郵便法とともに電信法・郵便為替法の成立をみ、さらに鉄道・船舶などの運送業者に郵便物逓送の義務を負わせる鉄道船舶郵便法が発布され、現在における郵便制度の基本はここに確立されることとなった。