1 社会教育体制の整備

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 教育基本法第七条には「家庭教育及び勤労の場所その他社会に於て行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」「国及び地方公共団体は、図書館・博物館・公民館等の施設の設置、学校の施設の利用、その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない」と規定している。従来普通に行われていた家庭教育・学校教育・社会教育の三分法に対し、ここでは社会教育は、家庭教育及び狭義の社会教育を含めた広義の社会教育とされ、学校教育と相対する教育の二大部門の一つとされている。これをうけて社会教育法第二条は「この法律で〈社会教育〉とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリェーションの活動を含む)をいう」と定義づけている。
 戦後の新しい社会教育行政は、国民が自主的に学習できるような環境を醸成し、条件を整備することを、最大の任務としたので、その整備充実は極めて重要な役割をになうこととなった。なかでもその中心的な存在となったのは公民館である。
 社会教育法には、公民館の事業としてつぎの七項をかかげている。
 1 青年学級を実施すること
 2 定期講座を開設すること
 3 討論会・講習会・講演会・実習会・展示会などを開催すること
 4 図書・記録・模型・資料などを備え、その利用を図ること
 5 体育・レクリェーションなどに関する集会を開催すること
 6 各種の団体・機関などの連絡を図ること
 7 施設を住民の集会、その他の公共的利用に供すること
 昭和二十一年文部次官通牒「公民館の設置運営について」は、公民館の趣旨や具体的な設置運営の方法などを明かにしたものであるが、それから三年後の二十四年社会教育法公布の時点において、当時の全国市町村の約八割がすでに公民館を設置していた。ただ、当時のきびしい財政事情により、二十五年現在で独立した施設を有する公民館は約半数にとどまっていたが、やがて運営補助金・施設補助金として国庫補助の道が開かれ、しだいに施設の設置、職員や施設の充実が進められ、また社会教育法により公民館の性格、業務内容が前述のように明確にされ、社会教育機関としてはっきり位置づけられるにおよび、その活動はようやく本格的な展開をみせるに至った。