本村は、県の北東部に位置し、遠く那須及び日光の連山を望み周囲を那珂川、箒川及び蛇尾川の清流にかこまれた、風光明媚でしかも村土の大半が肥沃で生産性の高い耕地を有する純農村である。一方、隣接する大田原市、黒磯を中心とする県北部地帯は、最近急速な工業開発に伴う都市化現象を呈し、さらに東北自動車道の開通と東北新幹線の具体化など交通通信網の整備は、この現象に一層の拍車をかけている。
このような状況の中で、本村もその例外ではなく、大手不動産業者の進出が目覚しく、ゴルフ場を中心としたレジャー関連施設の造成計画が中央山林台地部に集中されるとともに、県及び村が共同開発を進めている品川台工業団地も実現されることが確実となるなど、純農村から工業、レジャー地区としての活発な開発が期待され、優良企業の選択的導入により、村外に流出する労働人口を村内に定着させ、過疎化現象を解消し、村民所得の増大を図らんとする。一方農業の振興も積極的に進め、土地の基盤整備などによる農業構造の改善をはかり、規模拡大及び大型機械の導入などによる生産性の高い農業経営を目指し、本村の立地条件に適した営農対策を講じていかなければならない。
しかしながら、これらの開発に伴い当然各種の弊害や不調和が予想されるので、これを最少限度にとどめるとともに「明るく豊かな住みよい環境の村造りと調和ある村の発展」を目標にし、村民の生活環境の保全と住民福祉の増進を最重点とした施策を講ずれば十年後の本村のあるべき姿は、概ね次のようになるであろう。