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一月九日附書状披見候処無障御勉強之由何喜如之此地家内一統無些恙又高輪にても御一統御盛也御休神是祈
兼而御申越の穂積氏憲法講義録ハ穂積自身にも探索いたし呉れ候得共手ニ入り不申候 [書肆が犯則ニ売/出せし故罰を恐て不出] 就而は同氏が皇族ニ対し講話せし筆記有之一閲候処簡明ニ出来甚好書 [主義の/異は別也] ニ付右もらひ受相送り候並ニ皇室典範も送り候
おかず様縁談不調残念至極ニ存候加藤家にてハ只々他日の責任を恐れ何分承諾不致候て亦委敷承り候へば無理ならぬ処も有之候他ニ宜布処をと日夜心掛候得共見当り不申候しかし本年内には是非にと存候
御申越費用云々機会有之候ハヽ井伯ニ話し可申候我ならば衣食住に面働なく小遣をもらひて勉強する事甚煩を省きて妙なれども御望の趣も亦尤の処も有り我ニ於てハ別ニ反対ハ無之候但シ井伯諾否ハ受合不申候
議会到底解散ニ相成候而再選挙にハやはり前同様之主義の人々被選相成候此度の臨時議会にハ政府が降参して終ニ政友会主張通りニ相成べきか然時ハ総辞職もなしニ済む可と被察候是とても未ダわかり不申候新聞紙にて御覧ならんと存候
東北飢饉大阪博覧会等此節人の注目する処ニ候色々申入度候得共本日ハ差急閣筆候御勉強而已希望いたし候也
三月二十一日 父より
八郎殿