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五月卅一日附書状披見候其後無御障御勉強之由何喜如之猶又大学入校云々是又承知候講義は無間断御聞取幷ニ筆記専要と存候本邦本年ハ非常不順ニ有之雨多く且悪疫流行之徴有之加ルニ不景気にて民間歎声処々相聞へ候しかし大体より見れハ依例如例本年特ニ悪年といふ訳には無之と存候内顧の念なく只々御研究是祈◯四五日前高輪え罷出妙好様安子様おかす様にも拝眉候いづれも御盛也妙好様ハ高輪邸にて消夏安子様かす子様ハ不遠鎌倉え御出之由也伊藤井上杉諸老皆々健全是又御安心祈入候杉子室過日病死にて昨日か送葬ニ有之候気毒之事ニ候お新実斐三々郎皆々健全菊ハ耳ニ出来物有之相良子爵之娘と同病之由にて同家にて一緒ニ療治いたし候漸く全快本日より大磯え帰り候◯別紙仏文書状披封之まゝ入れ置候右ハライン先生え我より之書ニ有之是迄無沙汰いたし候得共一応礼状を出し置候事可然と心附候ニ付差出候序之節先生え御渡被下且我よりの謝意も御述へ置被下度候右返事旁如此候書不尽言草々
七月十五日 公望
八郎とのへ