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九月卅日附書翰十一月廿五日九州地方より帰京披見いたし候◯お萬様と泰通氏婚姻之事ニ関シテハ色々と心配相勧候得共加藤夫婦より一応理リニ相成其趣井上伯ニ申入置候事ニ候◯井上勝之助氏夫婦ハ無障去廿三日我旅行留主中帰朝相成候未尋不申候得共早速書状にて礼を申遣置候猶四五日駿河台え招キ候筈ニ有之候◯去ル五日東京出立にて須磨に二泊下ノ関ニ一泊夫より熊本ニ五日滞留特別演習ヲ陪覧シ長崎ニ二泊 船にて神戸ニ戻リ一泊夫より奈良ニ二泊正倉院古物ヲ拝観シ京都ニ行二泊久々命之洗濯いたし候而二十五日ニ駿河台え帰宅候猶又昨日より大磯ニ来居候明日ハ又々東京ニ帰り候企ニ候身体ハ全ク健康ニ相成候◯お新ハ女子大学入校以来かなり之成績ニ有之候其他菊 [耳ヲ煩ヒタレドモ/既ニ快気セリ] 房三々郎実斐等無障くらし候是又乞御安心◯前月より本籍ヲ大磯ニ移シ候即「神奈川県大磯町西小磯」御互ニ右処之住民ニ有之候此事ハ既ニ申入候哉とも存候得共為念御心得迄ニ申入置候◯此地近来快晴打継稍寒気を覚候貴地如何書不尽言御返事迄草々非常乱筆乞推読せよ
十一月廿八日 公望
八郎殿