『月光』 菅野民子名

昭和一九年二月 (無題)四首
 北山のかの八瀬川の里近く友は紅葉を如何に見るらむ
 氣狂ひし異國の友はひねもすをうたひ笑ひて樂しかるらし
 歌ひつつ鏡に向ひ化粧する氣狂ひし友の姿變らぬ
 狂へる友は眠りたるらし隣室ゆ靜かに友の寝息きこゆる
 
第四号 裏表紙
 夕されば山かすみゆくせつなさを告げましと思ふ人もあらなく