『来陽』

昭和四七年二月 地の果てまでも六首(二首/雲の地図)
 灯の幅にをりをり触れてそよぐときしづくのやうに光る花の芽
 春雪を踏み来しブーツ脱がむとし何か失ふごとき怖れよ
 まざまざとわれは木なればもろ手よりやみがたく木の花振りこぼす
 たいまつは煙しろじき曳きながらあかつきの町をつらぬきゆけり