『おおみや』

昭和四三年二月一五日 春の帽子一〇首(八首/花溢れゐき・一首/短歌研究四二・三)
 時刻表の文字板あはくともりゐて雪に遅れて来る夜汽車待つ
 
昭和四四年二月一五日 芝川早春一〇首(六首/花溢れゐき・二首/現代四四・一一一首/短歌新聞四四・一)
 林のなかにしづもれる家日曜の今朝はたれかがゐて釘を打つ
 
昭和四五年一〇月一五日 硝子の天使一〇首(九首/花溢れゐき・一首/短歌公論四三・一〇)
 
昭和四七年二月一五日 あとかたもなく一〇首(九首/雲の地図)
 街灯のうるむ夜霧のなかを来て鳩時計鳴るはいづこの家か
 
昭和四七年一〇月一五日 風の凪ぐとき一〇首(八首/雲の地図・一首/形成四七・八)
 思ひゐて驚きやすしグラスのなかの氷の一つ不意にくつがへる
 
昭和四八年一〇月一五日 随筆中一首
 海越えて届きしプードルの縫いぐるみいまだ名付けずソファーに置く
 
昭和五〇年一二月一五日 わが石(一〇首/野分の章)
 
昭和五六年六月一五日 金糸の花(一〇首/風水)