十二月十一日

人恋ひていたもすべなみ星夜いま弾けぱもつるゝさゞなみの曲も
君をしもひたいだかましたかぶりの夕ぐれピアノに音(ね)をみだるかな
はげみたまふ君かかなしもひとりいらだち逢ふ由もなに幾日のへぬる
まひる日に乱るピアノもわがこゝろ泣かまくかなし逢ふ由なきひと
行きくれし野末の思ひさながらにひと日のきほひもくづをれて泣かゆ
きほひなく笑ひを歪みひと日を耐へて夕ぐれせきあへずピアノに哭ける