旅のうた

ゆられ揺られ宮城野行きて利府の里今䔥篠と雨降り出でぬ
枯色の野田はるけしも雨もやひくれなずむ空に群雀立つ
冬陽たけなはにはだら雪なす谷あひの小みちにそひて汽車はひたゆく
あざむきて君いざなふにあらざるや吾さへそれと悟らざるまに
あふれくる思ひさゝへて揺られゆく窓はるかなる雪の峯々