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初期の手作り歌集
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『8 春愁の曲 歌の集』
四月十三日の歌 〝ぼたん桜〟
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病みし間に春爛(た)けぬらしもこのあした晴れて嵐に花散り初めぬ
朝晴れぬぼたんざくらの大枝のたわゝに揺れてはるの嵐吹く
偽はりの言(こと)もたくみになりてゆく日頃かなしも春のみ爛(た)くる
人ひとり偽はりてある罪を負ひ苦しみ貫(ぬ)かむ生活(たつき)のあはれ
偽はりの言(こと)も仕種(しぐさ)もなめらかに慣れて過ぎゆく春の日々あはれ
いとけなくなほなる日々もありにしをこゝろも咎めで偽はりもする
人あざむくはすべなきことかこの頃は自分をだに偽はりおほす