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初期の手作り歌集
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『9 浜のあけくれ』
父病む
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父と子と共にいたづき日を経たりかなしく仰ぐはゝのやつれを
ちゝのみの父のいたづき夏暮れて虫すだく夜もしはぶきにふける
病む父に何時か夏暮れてしはぶきのしげき夜ひとつこほろぎの鳴く
病むちゝのいたく咳く夜は妹は吾のかひなにすがりて眠る
病む父と看護(みと)り疲れし母をおきて出で立つ朝や海鳴りやまぬ