五月のうた

花散りてやがて五月よ心からうす色のスカーフ吾もよそほへ
まつさらな髙靴をはき十字屋でワルツの楽譜も買ふ五月(ごぐわつ)の晴れ
こゝろにも花かをる日よあか/\と欝金香は咲きたけてけり
真黄(まつき)なる牡丹の花粉顔に刷(は)きうたげをせなと友等誘へる
紋白蝶も黄に染まるかとひつそりと立ちて見てをり牡丹のさかり
 
ないて啼いて羽をふるはすあげひばりあふぎつゝあはれしばし無心に
                         薬師寺路にて